OpenHouse
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長野県長野市大字南長野新田町1468番地
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【HPより】 長野県長野市に拠点を構える トベアーキテクト一級建築士事務所/to be architect です。 住み継がれる建物の尊さを 伝え続けられる建築を目指して 想いやその土地の声に寄り添い 使い手と作り手が共に作り上げる行程を大切に 設計・監理を手掛けています。 改修や新築など、お気軽にご相談・お問い合わせください。
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先日、株式会社トベアーキテクトさんが手掛けた新築住宅の完成見学に行ってきました。
トベアーキテクトさんは、長野県長野市を拠点とし、新築や改修工事の設計・監理を行われている一級建築士事務所です。
この日は、代表取締役の香川さんとお施主様にお話しを伺いながら見学をさせて頂きました。
玄関入って正面に、LDKへの入口があります。
間仕切りに採用されているのは、奥様がセレクトされた古建具。
須坂市にある古道具屋さんで購入されたそうです。
建具の高さは内法で1.8m程。
建具のほとんどにすりガラスが入っています。
古建具は、現代の建具より重厚感がありますが、建具上部のみに枠を回すことで、スッキリと見せています。
奥様は、古道具や古雑貨がお好きで、以前から新築の際には絶対に取り入れたいと思われていたそうです。
これから紹介させて頂く建物内にも、新築×古道具が調和したコーナーが多く見られます。
写真は、キッチン手元のタイル。
キッチンカウンター立ち上がり部分に、艶のある、灰色がかった青緑色の約5センチ角のタイルが貼られています。
手元灯は電球型のペンダントライトで、シンクはステンレス。コンロはガス。
奥様曰く、キッチンというより台所を意識されたそうです。
キッチン正面には大きな掃き出し窓があります。
キッチン・ダイニング・リビング等室内のほぼすべての場所からこの窓が見えるように設計されており、
窓の外には、お施主様が経営する農園の葡萄畑と、北信五岳が一望できます。
キッチン背面の戸棚も、奥様セレクトの古道具。
こちらも3点とも、須坂市の古道具屋さんで購入されたそうです。
扉には鍵穴が付いていて、付属の鍵をかけることが出来ます。
1点鍵穴が壊れていましたが、これも味だと奥様がおっしゃっていました。
古道具には、今の雑貨には無い細かい装飾や、時代を感じるデザイン・質感等、たくさん魅力が詰まっています。
壊れているから捨てるのではなく、直して、使えなくなるまで使われてきた、まだ使えるのが古道具。
変な言い方をすれば『誰かの使い古し』なのですが、何十年も大切に使われてきた、
誰かの暮らしの跡と道具への愛が分かる『素敵なおさがり』なのです。
今回の設計のメインとなるのが、建物中心に位置する『鋏状トラス』です。
建物の荷重を担う重要な部分であり、チェコ出身の建築家、
アントニン・レーモンドの『レーモンドスタイル』の手法を模したものだそうです。
レーモンドスタイルとは、戦後の資材不足によりコンクリートや製材が不足し、
建築に簡易さと経済性が求められたことにより生まれた建築手法で、
当時『鋏状トラス』の材料には、現場の足場丸太が使用されていました。
『鋏状トラス』を用いることにより、長いスパンで梁を飛ばせるので、広い空間と天井高を確保することが出来ます。
こちらの丸太、プレカットでは加工できない手法なので、1本1本大工さんの手で刻まれたそうです。
広いリビング・高い天井・大きな窓で、お家の中にいるのに外にいるような、
ほっと落ち着く、自然との繋がりを感じられる空間です。
2階は畳貼りの寝室になっています。
南側の壁部は吹き抜けになっており、和室上部以外間仕切りはありません。
設計時、お施主様・香川さん共に、開放的な空間になるよう最低限の間仕切りを意識されたそうです。
ちなみに、和室上部の間仕切りになっている摺りガラスも、3本中2本が古建具。
1本は職人さんにオーダーして作って頂いたそうです。
南側に設置されているので、窓から差し込む太陽の光が反射して、繊細な模様がキラキラと輝いていました。
壁・天井には、ベニヤ板を採用。
構造材や下地材に使用されることの多いベニヤですが、このような活用方法も素敵ですね。
羽目板とは違い木目や色のトーンが柔らかいので、お部屋の中が優しい木の色に包まれていました。
吹き抜け南側には横並びにFIX窓が取付けられており、窓の外には北信五岳を望むことが出来ます。
1階とはまた違う表情の山々です。
このように、外の景色を絵画のように見立てて設置された窓を『ピクチャーウィンドウ』と言います。
その場所からしか見えない特別な景色を切取り、見る人に癒しを与えてくれる窓です。
1階の照明器具のコードが、梁に表しで配線されていました。
吹き抜けとペンダントライトの組み合わせならではの配線で、なんだかお洒落でアート性を感じました。
こちらは設計段階から決まっていたものでなく、配線を担当した電気屋さんの提案で生まれた配線方法だそうです。
お施主様と設計士と職人が一体となって、このお家を作り上げた一つのエピソードを教えて頂きほっこりしました。
最後は、ウッドデッキからの景色です。
目の前には、葡萄畑と緑と大きな空。
何度も何度も深呼吸したくなるような、そんな場所です。
標高が高く、西向きに開けたこの地域では、日没時の夕日が真正面に沈みます。
そんな地域の中でも特に景色の良いこのお家のウッドデッキは、
真っ赤に染まった美しい空を独り占めできる贅沢な場所です。
農園と併設してワイナリーでワイン造りをされているお施主様は
「農園と美しい自然を眺めながら、美味しいお酒を飲むのが楽しみです。」とおっしゃっていました。
今回見学させて頂いたお家は、自然と人と古道具が調和し繋がる、素敵なお家でした。